苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

揺れるカーテン1




その部屋は僕の部屋からよく見えた。


向かい側のアパートの

一階の角部屋だった。



床まである大きな掃き出し窓には、いつもレースの白いカーテンがかかっていた。


レースのカーテンはけっこう厚地なのか、


昼間はこのレースのカーテンが閉まっていると、

部屋の中までは見えなかった。




カーテンは何故かいつも揺れていた。



揺れは規則正しかったので、

きっと扇風機とかエアコンの風とかがカーテンに当たっていたのだと思う。




真っ白いカーテンがユラユラと揺れる様子を見て、



僕はあの部屋の住人のことを考えたりしていた。



あの部屋には僕と同じ年くらいの、

男が住んでいた。



背の高いイケメンだが、なんとなく中性的な感じがする男だ。



オネエっぽいとかではないのだが、


タンクトップから見える白い肩とか、


Tシャツの胸元から覗く綺麗な鎖骨とかが、


なんだかエロくて


僕は目を反らした。





ある日の夜……


僕はもう寝ようかなと、戸締まりを確認するため窓へ向かい外を見た。



ふと…男の部屋のカーテンが目に止まった。


彼の部屋は真っ暗だったが、

カーテンが揺れている。


僕はそれを見て違和感を感じた。



カーテンの揺れ方がいつもと違う。



いつもは風にそよぐように、

カーテンの裾の方がそよそよと左右にゆれている。



今は……白いカーテンは上下に揺れている。



リズミカルに上下に揺れていて……


その揺れはだんだんと激しく早くなっていくようだ……



カーテンの裾の方に……何かある。


人の手のようなものが見える。



人の手がカーテンの裾を掴んでいる。



ひょっとして……


カーテンの側でヤっているのか?



あの手は……男が連れ込んだ女か、


あるいはあれはあの男の手で、

彼が下になっているのか?



じゃあ……上になって彼を揺らしているのは……誰だ?



女か?


男か?




カーテンはいっそう激しく揺れ、


唐突に止まった。



しばらくして電気が付き、


手の主がカーテンを離し、立ち上がった。



あの男だった。




部屋の中に電気がついているので、

カーテン越しでも男が全裸なのが解った。



すると部屋の中から別の手が伸びてきて、


レースのカーテンの内側に、

分厚いカーテンを閉めた。



部屋の中の様子は全く見えなくなった。



彼の後ろから伸びてきた別の手は、

明らかに男の手だった。




最終回 THANK U 20




二人はお互いの存在が

かけがえのないものになっていった。



二人きりで過ごす時間が増え、

会えば夢中になって身体を重ねた。






「なぁ……ユノ……

このまま二人でどこかに逃げようか……」




「いいね……

とこがいいかなぁ……」




「どこか遠くがいいなぁ……

周りに誰もいない山ん中とか……」




「え~……誰もいない山の中?

大変じゃない?」




「ネットが繋がれは大丈夫だよ。

それに……僕がいるよ。」




「チャンミンと二人きり?」




「そうだよ。」




「そっか………

それならいいかなぁ……」




二人はそんな夢物語を語り合うようになった。



チャンミンはそんな二人の夢を夢物語で終わらせぬために、

必死に努力した。



文字通り血まみれになりながら努力を重ね、


いつしか時期組長候補と噂されるほどになった。



すべてはユノのためだった。




組長を追い落とし、

ユノを我が物にする……それがチャンミンの目標であり夢になった。



だがチャンミンの願いは脆くも崩れた。



ユノとは細心の注意を払い密会していたのだが、


二人の仲をある組員に知られてしまい密告されてしまった。


二人の仲は組長の知るところとなった。




当然………組長は激怒し、

ユノは監禁され組長に酷い折檻を受けた。



チャンミンは嫉妬に狂った組長の娘に、

あっけなく殺されてしまった。



もちろんチャンミン殺しの犯人には、

組の若い衆が名乗り出た。




チャンミンの葬儀の晩……


ユノは見張りの若い衆を誘惑して、

まんまと組長の元から逃げ出した。




そして……

組員が目を離した隙に、

棺の中からチャンミンの遺体を持ちだし、



そのままチャンミンの遺体と共に……どこかに消えてしまった。







山の家に青年が越してきてから、

何十年かの月日が経った。



美しかった青年は、

時の流れと共に凛とした老人になった。



ある日……山に一人暮らしの老人と連絡が取れなくなったと、

麓の村の青年団が老人の家を見に行くと、


老人は一人……息絶えていた。



老衰だった。



寒い時期だったので、

老人の遺体はたいして損傷することもなく、

美しいままだった。




老人の死後……

村の青年団が老人宅を片付けた際………



小さな冷凍庫の中から凍った人間の生首を発見した。



村の人々は、老人の深い業を知ったような気がした。






チャンミン……

これで……

ずっと……いつまでも……

一緒だよ……






THANK U 19




チャンミンが抵抗していたのは最初だけだった。


ユノの年期の入った手練手管にチャンミンはあっけなく陥落した。



一度落ちてしまうと、

チャンミンはユノとの行為に夢中になった。


ユノと二人きりになると、

ユノに甘え、

深いスキンシップを求めた。



ユノはこの手の男の事情をよく知っていた。



日常に大きなストレスを抱えていると、


癒してくれる母親のような存在を求め、

必要以上にスキンシップを求めてくる。



今のチャンミンがまさにそれだった。


そしてチャンミンが求める対象にユノはぴったりとはまった。




しっかりしていて過度にチャンミンに依存しない。


愛人としての立場を求めない。


愛の言葉を求めない。


どんなにやっても妊娠しない。



チャンミンはユノと抱き合っている時だけは、

高圧的で口うるさい妻のことを忘れられた。




ユノにとってもそれは同じだった。


しわくちゃで息の臭いジジイの相手ばかりしてきたユノにとって、


若く美しいチャンミンと抱き合うことは一種の癒しだった。



美しい顔、

逞しい体躯

滑らかな肌、

ミントの香りが漂うようなキス


チャンミンの全てが、爛れたSEXに疲れていたユノを癒してくれた。



二人はいつしか、

二人で過ごす時間が待ち遠しく大切なものなり、


お互いの存在がかけがえの無いものになっていった。