白磁 17
窯が開いた次の日、
ユノは、再びチャンミンの工房を訪ねた。
ユノが着いた時、
ちょうど、窯から、
作品を出しているところだった。
大小様々な形、色の作品が、
次々と出されていく。
作品の作家達なのだろうか、
たくさんの職人達が、
作品を手に取り、
何やら話し合っている。
とても賑やかだ。
テミンもいる。
ユノは、職人達の邪魔をしないように、
少し離れた所に下がって、
見ていた。
窯の奥から、白い皿が、
次々と出されていく。
どうやらチャンミンの作品らしい。
チャンミンは、
作品を一つ一つ手に取り、
ひっくり返しながら、
難しい顔をしている。
突然、
チャンミンが自分の作品を地面に叩きつけ、
割りだした。
「チャンミンさん!?」
「チャンミニヒョン!?」
皆が、チャンミンを止めようとしたが、
チャンミンは、やめなかった。
チャンミンは、
窯から出された白い皿を、
全て割ってしまった。
「僕は、やり直します。
皆さんは、自分の作品を評価し、
いつも通り、販売の手配をしてください。」
チャンミンは、職人達にそう指示すると、
その場を離れ、
少し離れた場所にいたユノに、
気がついた。
「ユノ!
来てたんですね。」
「うん。」
「お茶にしましょう。
来てください。」
チャンミンとユノは、
母屋に入った。
「割っちゃったんだね。
気に入らなかったのか?」
ユノは、
チャンミンがいれてくれた、
甘いカフェオレを飲みながら聞いた。
「はい。」
「どうして?
何がダメだったんだ?」
遠目に見ていただけだが、
美しい白い磁気に見えた。
「色がダメでした。」
「色?」
「はい。
もっと美しい乳白色でなくては‥‥」
チャンミンは、
ユノの腕をとり、
手首から肘の内側を撫でた。
その指先に、
ユノは、ゾクリとした。
「僕は、今、
18世紀のボーンチャイナの再現に、
挑戦しているんです。」
「ボーンチャイナ?」
「はい。」
チャンミンは、
ユノの手首に口づけた。
「あなたの肌のような、
美しい乳白色の磁器を、
作りたい。」
チャンミンは、
乳白色の肌に、
そこだけ妙に赤い、
ユノの唇な口づけた。
「今日‥‥泊まって‥‥いけます?」
チャンミンはユノに聞いた。
ユノは、コクリと頷いた。