苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身37

「魔女よ‥‥

久しいの‥‥」




チャンミンはニヤリと笑った。




だが、その視線は定まらず、

魔女ではなく、


空を見ているかのようだった。




魔女はチャンミンの異変にすぐに気がついた。



トパーズのように美しかったチャンミンの瞳は、


今は白く濁っている。




「チャンミン王よ‥‥

その目はどうした?」



チャンミンは魔女の問いには答えず、


箱の側にかがみ、

右手を伸ばしさまよわせると、


魔女の髪の毛をつかみ、


魔女の頭部を箱から持ち上げた。



そのまま、

まるで荷物のように魔女の頭部を持ちながら、

歩き出した。




「ま、待て!

どこへ行く!?

ここはどこだ!?」




チャンミンは魔女の頭を右手にぶら下げたまま、


小屋の扉の前まで来ると、



唖然としている新王と、

兵士らに向き合った。




「皆の者!

目を閉じ、

顔を伏せよ。

我がよしと言うまで、

決して目を開けてはならぬ!



チャンミンはその場にいた全員に聞こえるように、

声を張った。



新王も、

兵士らも、

魔道師も、

神官も、



皆、チャンミンの言葉に従った。





「何?

何をするつもりだ?

っ!!

まさ‥‥か?」




魔女は焦った。




魔女はとっさに、

チャンミンに対し、呪いの呪文を唱えようとしたが、


チャンミンは足先に触れた大きな石を拾い、


魔女の口の中に、

突っ込んだ。





「ウガッ!

グッ!ゲッ!」




魔女は苦しそうに呻いた。




チャンミンは、

魔女の頭を持ったまま、

小屋の扉の前に立ち、


扉の向こうに優しく声をかけた。




「ユノ、いいぞ。

開けてくれ。」




『ユノ』という言葉に、

魔女は目を見開いた。



そして急いで閉じようとしたが、



チャンミンは、魔女の上目蓋を押さえ、


魔女の目を閉じれなくした。




やがて、

ゆっくりと扉が開いた。