苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身18

チャンミン王は、

いらついていた。



愛しいユノが、


帰国するはずだった予定日を、

何日も過ぎても帰ってこない。



それどころか、

城下の民達は、


ユノが化け物になったと噂している。



ユノは、一旦は帰ってきたらしいが、



その美しい姿を見たものは、

みな石になってしまったというのだ。



噂を聞きつけ、

チャンミン王は、自ら、

城下の門のところまで、見に行った。



シム国の城下町は、

敵の襲撃に備え、周囲を高い塀に囲まれていた。


城下町と街道の境に大きな門があり、


人々は、その門をくぐり、

シム国の城下町に入れる。


門の周辺にら、

噂どおり、

たくさんの石像が並ぶ、

異様な光景が広がっていた。


石像はみな、

城下の人々だという。



帰国したユノを、

門のところで迎えた民達が、


ユノの姿を見とたん、

次々と石化していったというのだ。



ただ、定かかどうかわからない。



何しろ、ユノを見たものは、

みな石化してしまったので、


誰も実際には、

ユノを見ていないのだ。



ただ一人、

盲目の老人だけが、

確かにユノ様がいたと証言した。



ユノが帰国し、


みながユノの名前を呼び、

無事の帰国を歓迎したが、


次の瞬間、


人々の悲鳴と、

ユノの叫び声が響き渡った。




「ユノは、なんと言ったのだ。」




チャンミン王は、盲目の老人に聞いた。




「ユノ様は、『よせ、くるな。』と

おっしゃいました。」




「確かにユノだったか?」




「確かでございます。

私は、ユノ様が子供のころから、存じ上げております。

ユノ様は、この目しいのジジを心配してくださり、最近も城下でお会いするたび、

声をかけてくださいます。

私が、ユノ様の声を、間違うわけがありません。」



老人は、しっかりとした口調で、

チャンミン王にそう告げた。



チャンミン王は、

近衛兵を引き連れ、

国中あちこちユノを探し回った。


しかし、ユノを見つけることはできなかった。



チャンミン王の心配が限界に達し、


軍を召集し、

国をあげて、

ユノの捜索隊を準備していたその時、


城下の門に、

ユノの愛馬が現れたとの連絡がきた。



チャンミン王が愛しい人に授けた、

真っ白な馬だった。




続く