苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身19

ユノの愛馬ブランは、

チャンミン王の命令で、

すぐに城に連れて来られた。



ブランの背中の鞍には、

皮の袋がしっかりと、

くくりつけられていた。



チャンミン王は、その袋に見覚えがあった。



ユノが愛用していた袋だ。



チャンミン王は、

ブランの背中から、急いで袋を外し、中を見た。



袋の中には、

紙切れが一枚、

折り畳まれて入っていた。




何かの領収書のようだったが、


その裏側には、

見覚えのある、

愛しい人の文字が、びっしりと書き綴られていた。



そこに綴られている文字を読み進むうちに、

チャンミン王の手は、

ワナワナと震え始めた。



「なん‥‥だと?」



チャンミン王はそう呟くと、

ユノからの手紙を、近くにいた近衛隊長に渡した。




「急ぎ隊を用意しろ!

ユノを連れ戻しに行く!」



近衛隊長は、ユノの手紙を見て、驚愕に目を見開いた。




「お、王様!

お待ちを!

しばし、お待ちを!」




近衛隊長は、チャンミン王を、追いかけた。




チャンミン王は、

すでに甲冑の用意をさせている。




「王!

お待ちください!

もし、もし、ここに書かれていることが真実ならば‥‥

これが、ユノ様が書かれた文ならば‥‥」



チャンミン王は、

甲冑を身に付ける手を止めずに、

答えた。




「真実だ。

それは、誠にユノの書いた文字だ。

あいつの文字を、私が見間違う訳がない。」




「それならば、

なおさら‥‥

王よ。

しばし、お待ちください。

今一度、よくお考えください。」




近衛隊長は、

必死に言いつのった。




「考えろ?

何をだ?

ユノは、森の奥深くに、一人でいるんだ。

ユノを迎えに行く。

もう、一分一秒たりとも待てぬ。」




「しかし、

しかし、

この手紙に書かれていることが、本当なら、

王よ!

王は、ユノ様を一目見た瞬間、

石になってしまいます。」




チャンミン王は、甲冑を付ける手を止め、

近衛隊長を振り返った。




続く