THANK U 11
次に意識が戻った時は病院のベッドの上だった。
多分、銃のようなモノで肩を撃たれてはいたが、
弾は肩をかすっただけで軽症だと医者に言われた。
撃たれたショックと出血で、
意識を失ったらしい。
傷を綺麗に縫合してもらい、痛み止めや化膿止めの薬をいくつかもらって、
翌日にはもう退院し帰ってよいと言われた。
病院の前でタクシーを拾いアパートに帰ろうと思ったのだが、
途中、ユノさんの店が目に入り、
店の前でタクシーを降りた。
ユノさんのカフェには、
黄色いテープが張られていた。
周りにはパトカーが何台も停まっていて、
警察関係者らしき人達が何人も出入りしていた。
木目が美しかった木の扉はいくつもの弾に撃ち抜かれ、
穴が空き傾いている。
チリンチリンとかわいい音を鳴らしたドアベルは、
歪んでしまい、今にも取れそうだった。
道路側の窓ガラスはすべて粉々に割れていて、
所々、かろうじで窓枠が残っている程度だ。
ユノさんはどうしたのだろか………
無事なのだろうか……
『ミノ……
俺はもう行かなきゃ……
本当に……ごめんな……』
意識を失う前……
俺は朦朧とする中で、
ユノさんが言った言葉を……途切れ途切れだが覚えている。
『いままで……ありがとな……
さよなら……』
最後に……『さよなら……』と言われた気がする。
ユノさんは、ここにはもういないのだろうか………
夕べの銃撃戦のようなものはなんだったのだろう……
ユノさんが狙われたのだろうか………
俺が撃たれた時………
ユノさんは無事で動いていた。
大丈夫だったのだろうか……
俺はガラスが割れた窓から店の中を覗いてみた。
すると…………
「あれ!?
あんた!!」
店の中にいた男が、俺に声をかけた。