THANK U 7
俺は好奇心に負け、
ユノさんのプライベートな部屋の扉を開いた。
「ユノさん?」
電気は点いていた。
部屋の中は広いワンフロアーだった。
パッと見………
家具の無い部屋だった。
手前に小さなキッチンがあり、
奥にベッドがある。
ベッドといっても、
マットレスと毛布が置いてあるだけだ。
壁際にハンガーに吊るされた服が何枚か掛かっている。
それ以外は何も無い。
テレビもレンジも無い。
キッチン周りも何も無い。
ただ……
小さなキッチンの脇に、
妙にデカイ冷蔵庫がある。
銀色の業務用みたいな冷蔵庫だ。
何も無い部屋で、その大きな銀色の冷蔵庫が異彩を放っていた。
店で使う物でもしまってあるのだろうか……
バスルームらしき場所から水音がする。
まさか……店を開けたまま風呂に入ってるんだろうか……
「ユノさ~ん!」
俺は少し大きな声で、
ユノさんを呼んだ。
「誰だ!?」
ユノさんがバスルームらしき場所の扉を開け、顔を見せた。
上半身裸で髪もビショビショだ。
ホントに風呂に入ってたのか?
「わっ……!!
すみません。
お客さんが来てますけど、帰ってもらいますか?」
俺は裸のユノさんから目を反らすと、
聞いた。
「あ、ミノ。
ごめんごめん。
すぐ行くよ。
時間が大丈夫そうなら、待っててもらって。」
「解りました。」
俺は静かに扉を閉めた。