魔身11
ユノは、愛馬を駆り、 森の中に逃げ込んだ。 魔女に、遭遇した方向とは、 逆へ逆へと向かった。 薄暗い森の奥深くに入り、 ようやくブランの手綱を引き、 足を止めた。 辺りには、もちろん、 誰もいない。 ユノは、ブランから降りると、 地面にドサリと腰を下ろした。 落ちついて、 呼吸を整えると、 先ほど... 続きをみる
魔身10
突然、石になってしまった門兵に、 ユノは、驚愕した。 愛馬の手綱を引き、 止まろうとしたが、 ユノの逸る気持ちが愛馬に伝わり勢いが出ていたため、 急には止まれず、 愛馬が完全に足を止めたのは、 門の内側に入ってからだった。 「ユノ様、おかえりなさい!」 「ユノ様、ご無事で何より‥‥」 「ユノ様‥‥... 続きをみる
魔身9
草の朝露が、 ポトリと頰に落ち、 ユノは、目が覚めた。 一瞬‥‥ 自分がどこにいるのか、 わからなかった。 ユノは身体をおこし、 辺りを見回した。 まだ、早朝だ。 辺りは朝靄に包まれている。 ブルルルル‥‥と、声のした方を見ると、 ユノの馬が草を食んでいた。 「‥‥‥‥ブラン‥‥」 ユノは、恐る恐... 続きをみる
魔身8
「ディンディン!!」 ユノは、カラスになったディンディンを見て、 絶叫した。 カラスは、そのまま飛び立ってしまった。 が、ディンディンは、 カラスになる瞬間、 手にしていた剣を、 ユノのほうに向かって投げた。 ユノの身体の上に、 ディンディンが投げた剣が落ちた。 ユノは、剣をしっかりとつかんだ。 ... 続きをみる
魔身7
やがて、3人は少し開けた場所に出た。 そこには、 古い丸太小屋が建っていた。 丸太小屋は、 全体がすすけたように真っ黒で、 所々コケが生え、 壁には、何匹もの蛇や百足が這っていた。 煙突からはモクモクと黒い煙が出ていて、 何かの肉が焼ける、異様な臭いが漂っていた。 「うっ‥‥」 ユノもディンディン... 続きをみる
魔身6
ユノとディンディンは、 朝早くに、 ユノの実家を出た。 前の晩は、 雨が酷く降っていたが、 朝には、青空が広がり、 爽やかな晴天になっていた。 ただ、夜に降った豪雨のために、 街道の一部に土砂崩れがおこっていて、 通過できない場所があった。 ユノとディンディンはしかたなく、 街道を避け、 森の中を... 続きをみる
魔身5
ユノは、その日の夕刻には実家に付き、 母親と対面した。 ユノの母は、床に伏していたが、 ユノの姿を見ると 涙を流して喜んだ。 幸い母の病状は、 心配したほど悪くはなく、 ユノが来たことにより、 気持ちに張りが出たのか、 目に見えて、回復していった。 「王様からお話をいただいた時‥‥ あなたはもう‥... 続きをみる
魔身4
翌朝早く、 ユノはチャンミン王のベッドを抜け出すと、 実家に向かって旅立った。 早朝ではあったが、 チャンミン王も一緒に起き出してきて、 遠慮するユノをなだめ、 城門まで送っていった。 いざ、城門についても、 チャンミン王は、 ユノを抱きしめたまま、 なかなか離してやることが出来ずにいた。 王と共... 続きをみる
魔身3
朝食が終わり、 チャンミン王は午前中の執務を行うため、 私室を出て、 謁見の間に向かった。 私室から出る際は、 侍従長を抱き締め、 『ごちそうさま。』と、 キスすることを忘れなかった。 午前中は、北の国からの使者と、 謁見の予定があった。 ユノも王の侍従長として、 謁見の間に、同席した。 王が使者... 続きをみる
魔身2
ユノは王の私室に入ると、 窓を開けた。 ついさっきまで、 この部屋で、 このベッドで、 チャンミン王の熱い剣に貫かれていた。 部屋の中の空気が、 まだ、どこか青臭いような気がする。 ユノは、部屋の中の空気を入れ換えると、 チャンミン王の着替えを手伝った。 花を浮かべた暖かい湯で布を絞り、 チャンミ... 続きをみる
魔身1
「あ‥‥ああ‥‥ 陛下‥‥ もう、堪忍してください‥‥」 「まだ‥‥ まだだ‥‥ もう少し付き合え‥‥」 「う‥‥ あ‥‥や‥‥」 朝‥‥ 鳥のさえずりがきこえる爽やかな朝‥‥ チャンミン王は、 広くなったベッドの白いシーツを撫でた。 まだ、仄かに暖かい。 夕べ、あんなに攻めたのに‥‥ 愛しい人は... 続きをみる
終 白磁29
その日は、 ユノは夜のステージがあるからと、 昼前には、帰っていった。 チャンミンは、 あとで必ず観に行くからと約束し、 帰るユノに、キスをした。 チャンミンとテミンは、 ユノの車を二人で見送った。 「ユノヒョン、かわいい。 チャンミニヒョンがキスしたら、 うっとりしちゃって‥‥」 「お前‥‥ も... 続きをみる
白磁 28
ユノは、また、 ふっと目が覚めた。 ユノに‥‥と与えられた部屋にいて、 きちんと布団に寝かされている。 なぜ、自分がここで寝ているのか、 一瞬‥‥解らなかった 確か‥‥夕べ、窯に行って‥‥ チャンミンがいて‥‥ そうだ‥‥ 窯の前で、チャンミンと話をした。 チャンミンは、 テミンを‥‥焼い... 続きをみる