魔身37
「魔女よ‥‥ 久しいの‥‥」 チャンミンはニヤリと笑った。 だが、その視線は定まらず、 魔女ではなく、 空を見ているかのようだった。 魔女はチャンミンの異変にすぐに気がついた。 トパーズのように美しかったチャンミンの瞳は、 今は白く濁っている。 「チャンミン王よ‥‥ その目はどうした?」 チャンミ... 続きをみる
魔身36
「魔女の頭が入った箱を、 ここに持ってまいれ。」 チャンミンは新王に告げた。 新王は「え‥‥?」とビックリした。 「しかし‥‥ そんなことをしたら‥‥」 「大丈夫だ。 元は、私とユノが蒔いた種だ。 我々が責任をもって対処しよう。」 チャンミンは力強く頷いた。 それでも心配し納得しない新王に、 チャ... 続きをみる
魔身35
チャンミンは新王の話を黙って最後まで聞いていた。 「そうか‥‥」 新王の話が終わると、 チャンミンは新王の声をたよりに手を伸ばし、 新王の肩に触れた。 チャンミンにとって新王はかわいい甥だ。 疲れきっている声の新王の肩を慰め撫でようとした。 「皇太子‥‥いや‥‥王よ‥‥ その腕は‥‥どうした?」 ... 続きをみる
魔身34
そこはまるで、 お伽噺の絵本の一ページのようだった。 庭は、 よく手入れされた緑の草におおわれ、 色とりどりの花が咲き、 兎、ヤギ、鹿、馬など大小様々な動物達が、 のんびりと草を食んでいる。 庭を囲むように、生い茂った木々は、 鮮やかな色の果実を実らせている。 木々の梢の間では、 小さな鳥がさえず... 続きをみる