苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身36




「魔女の頭が入った箱を、

ここに持ってまいれ。」




チャンミンは新王に告げた。



新王は「え‥‥?」とビックリした。




「しかし‥‥

そんなことをしたら‥‥」




「大丈夫だ。

元は、私とユノが蒔いた種だ。

我々が責任をもって対処しよう。」




チャンミンは力強く頷いた。



それでも心配し納得しない新王に、

チャンミンは何度も「大丈夫だ」と繰り返した。




かくして、



それから2日後、



魔女の頭部を納めた箱は、

厳重に警備され、


チャンミンとユノが住む森の家まで持ってこられた。



新王は一行の先頭に立ち、皆を先導した。




箱は、


魔除けの護符を縫い込まれた布を幾重にも巻かれ、


護符が刻まれた荷台に乗せられ、

馬に引かせて運ばれた。



護符が刻まれた甲冑に身をつつんだ近衛兵が前後左右を固め、



その回りを魔道師達が魔除けの陣を張りながら進んだ。



さらにその後ろを、

神職達が聖なる祝詞を唱えながら進んだ。



それでも城から森に到着するまでに、


近衛兵が4人、


魔道師が2人、


神職者が1人、倒れた。




やっとの思いで一行はチャンミンとユノが待つ森の家に到着した。



チャンミンが家の前で出迎えいたが、


家の扉は固く閉ざされていた。




「チャンミン様。」




新王はチャンミンの姿を見留めると、

ホッとしたような、

躊躇しているような、

複雑な面持ちで声をかけた。




「来たか‥‥」




「箱をこちらへ‥‥」と、

チャンミンは両手を差し出した。




新王は布ごと箱を持ち、

チャンミンの手に渡した。



チャンミンは箱を受け取った。





「ご苦労だった。

迷惑をかけたな‥‥」




「チャンミン様。」




「おや‥‥

懐かしい声がするねぇ‥‥」




箱の中から不気味な声が響いた。



チャンミンは、

箱を地面に置くと、


箱を覆っていた布を外した。




「おお嬉しや。

麗しのチャンミン王の気配がする。」




魔道師達が何をやっても開かなかった箱が、


ひとりでにギィ‥‥と蓋が開いた。




「うっ‥‥」




その場にいた兵士らは全員鼻を押さえた。




酷い臭いだった。



箱の中には、

魔女の頭部だけが収まっていた。



魔女の身体を焼いた残骸らしきものが、

黒い灰となって箱の底に散らばっている。



その頭部はまるで生きているかのようだった。



黒く長い髪は箱の底にトグロを巻き、


皮膚は激しい拷問を受けた時の傷で、あちこち傷だらけだった。


目は瞳も白目も真っ赤だ。


赤黒い傷だらけの唇がにんまりと笑った。




「憎きチャンミン王よ‥‥

ああ‥‥この時をどんなに待ったことか‥‥」




魔女はうっとりとした声でチャンミンに向かってそう呟いた。




「魔女よ‥‥

久しいの‥‥」





チャンミンもニヤリと笑った。