苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身35



チャンミンは新王の話を黙って最後まで聞いていた。




「そうか‥‥」




新王の話が終わると、

チャンミンは新王の声をたよりに手を伸ばし、


新王の肩に触れた。




チャンミンにとって新王はかわいい甥だ。



疲れきっている声の新王の肩を慰め撫でようとした。




「皇太子‥‥いや‥‥王よ‥‥

その腕は‥‥どうした?」




チャンミンの手のひらには、新王の右腕の二の腕から先が感じられなかった。



「沼から箱を引き上げる際に、

腐って溶け落ちました。」




チャンミンは新王の言葉に更なる衝撃を受けた。




「‥‥‥箱は‥‥今どこにある?」



「城の礼拝堂に保管してあります。

しかし、すでに壁には毒草が蔓延り、

祭壇にはビビが入りました。

このままでは時間の問題です。」




「神の力をもってしても、呪いを抑えられぬか‥‥」



チャンミンはため息をついた。




「森の外では恐ろしい不幸が起こっていたのだな。

私はとんだ置き土産をそなたに残してしまった。

すまない。」



チャンミンは頭を下げ、

新王に詫びた。



「いえ‥‥叔父上のせいではありません。

魔女の頭部を燃やせず、

沼に沈めたことを、

当時の魔道師達は内密にしていたのですから‥‥」




当時、事を仕切っていた魔道師達は、


処罰されることを恐れ、


魔女の頭部を処理できぬことを、

チャンミン王に隠した。



しかし、もうすでに、

その魔道師達も病に倒れ、この世にはいない。




「このままでは王国は滅んでしまいます。

しかしもう、私には教えを乞える賢者が残っておりませぬ。

皆、病に倒れ亡くなってしまいました。

残っているのは、

若くて体力はあれど、

知識も経験も浅い者ばかりです。

叔父上‥‥

私はこの窮地をどのように乗り越えればよいでしょうか‥‥




「‥‥‥‥王よ‥‥」





「チャンミン様‥‥」




その時、

ドアの向こうから、

チャンミンを呼ぶ柔らかな声が聞こえた。



新王の深い嘆きは、

ドアの向こうにいたユノの元にまで聞こえた。




「チャンミン様。

お話があります。」




ユノはチャンミンを呼んだ。




「ちょっとここで待っておれ。」




チャンミンは新王に断ると、


ユノの待つドアの向こうへ消えた。





しばらくしてチャンミンが新王の元に戻ってきた。




「待たせたな‥‥」




「いえ‥‥」




「魔女の頭部は、まだ箱に入ったままなのだな。

私が首を跳ねた時のままか?」




「おそらくは‥‥」



「では‥‥」




チャンミンは魔女の最期を思い出していた。



激しい拷問を受けたにもかかわらず、

真っ赤な目を見開き、チャンミンを見据え、

ユノの呪いを解く方法は無いと、

薄ら笑いを浮かべていた。




「箱をここに持ってまいれ。」




「え?」




チャンミンは新王にそう告げた。