白磁 28
ユノは、また、
ふっと目が覚めた。
ユノに‥‥と与えられた部屋にいて、
きちんと布団に寝かされている。
なぜ、自分がここで寝ているのか、
一瞬‥‥解らなかった
確か‥‥夕べ、窯に行って‥‥
チャンミンがいて‥‥
そうだ‥‥
窯の前で、チャンミンと話をした。
チャンミンは、
テミンを‥‥焼いていた。
外はもう‥‥明るい‥‥
何時だろう‥‥
俺も、焼かれるのだろうか‥‥
逃げた方が、
いいのだろうか‥‥
チャンミン‥‥
チャンミン‥‥
ユノは、何故だが、
鼻の奥が痛くなった。
視界が滲んだ。
その時‥‥
「あ、ユノヒョン。
起きた~?」
テミンが、元気よく、
部屋の中に入ってきた。
「っ!!?
テミン!?」
「ユノヒョン。
朝食出来てるよ。
俺、今、帰ってきたんだ。
チャンミニヒョンが一緒に食べていいって。
起きて。」
「テミン!!」
ユノは、思わずテミンに抱きついた。
「ユノヒョン?
どうしたの?」
「テミン!
テミン!
ああ、よかった‥‥」
ユノは、テミンの暖かな身体を、
ぎゅうぎゅう抱きしめた。
「ユノヒョン?
何?
お誘いなの?
嬉しいけど、あとでね。
今は、ちょっとまずいよ。
ほら、チャンミニヒョンが、
睨んでる。」
「ユノ、テミン。
何してますか?」
「あはは‥‥
チャンミニヒョン。
ユノヒョン寝ぼけているみたい‥‥」
チャンミンは、二人に近づくと、
ユノをテミンから引き剥がした。
「ユノ。
体調は、どうですか?
医者に行かなくて平気ですか?
お?
どうしたんです?
どこか、痛い?」
チャンミンは、
ユノの目尻に貯まっていた涙に気がつき、
唇で、優しくぬぐった。
「なんでもないよ。
大丈夫。」
「びっくりしました。
急に倒れるから‥‥
ほんとに、平気?」
ユノは、うん。とうなずいた。
夕べ、
ユノが窯で感じたことは、
全て、ユノの誤解だったのだ。
テミンは、元気で目の前にいる。
チャンミンは、恐ろしい殺人鬼などではなかった。
ユノは、安堵に胸を撫でおろした。
三人は、何事もなかったかのように、
食卓を囲んだ。
「テミン。
今帰ってきたって‥‥
どこかに、行ってたのか?」
ユノは、テミンに聞いた。
「ああ、はい。
チャンミニヒョンのお使いで、
土の仕入れに行ってました。
渋滞にはまっちゃって、
なかなか帰りつかなくて‥‥」
「そうなんだ‥‥」
「テミンは、土の目利きなんですよ。
良い土を見つけてきてくれるんです。」
チャンミンが、
良い粘土がとれる地域を、
いろいろ教えてくれた。
ユノは、
今度は、チャンミンに聞いた。
「チャンミン。
夕べ焼いていたのは、なんだったんだ?」
テミンじゃなかったことは解ったが、
気になってしかたかなった。
「馬です。
子馬。」
「子馬?」
「近くの牧場で、子馬が無くなったので、
引き取りました。
死産だったそうです。
産まれてまもないので、
骨が、とても綺麗なんです。
ただ、若すぎて、
焼きすぎると、骨が無くなっちゃうんで、難しいんです。
窯のそばに、ずっとついて、見ていないと‥‥」
「チャンミニヒョン。
食事中の話題じゃないよ。
ユノヒョンの顔が青白くなっちゃった。」
テミンが、顔をしかめた。
「そうですね。
ああ、ユノ、
すみませんでした。」
「ううん。
聞いたのは、俺だから‥‥」
ユノがそう言うと、
テーブルの上のユノの手を、
チャンミンがギュッと握った。