苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身34



そこはまるで、

お伽噺の絵本の一ページのようだった。



庭は、


よく手入れされた緑の草におおわれ、


色とりどりの花が咲き、


兎、ヤギ、鹿、馬など大小様々な動物達が、


のんびりと草を食んでいる。




庭を囲むように、生い茂った木々は、


鮮やかな色の果実を実らせている。



木々の梢の間では、


小さな鳥がさえずり、

鼠やリスが駆け回っている。




庭の奥には、

丸太を組んでできた、

これまた絵本にでてきそうな小さな小屋が建っていた。



小屋の煙突からは白い煙が立ち上ぼり、

辺りに美味しそうな匂いを漂わせている。



小屋の裏手には、小さな井戸がある。



そのままで絵本の挿し絵のようだ。


ただひとつ‥‥絵本と違うのは、


小屋の窓ヶには、分厚い白いカーテンがかかっていて、


小屋の中をうかがい知ることができないことだ。




「チャンミン様!」




新王は、小屋から少し離れた所で馬を降り、



叔父の名前を呼んだ。



しばらくすると、

キィ‥‥と音をたてながら、

小屋の扉が開き、


懐かしい叔父が、姿を現した。



「皇太子‥‥か?」



「はい。

叔父上。

私です。」




「どうしたんだ?

こんなところまで‥‥」




チャンミンが小屋の外に出てくると同時に、


小屋の扉はピタリとしまった。




「叔父上‥‥お久しぶりです。」




「ああ、久しいな。

元気だったか?」




「はい。

ユノ殿は?」




「中にいる。

扉を隔てて姿を見さえしなければ大丈夫だ。

何かあったのか?」



新王は、チャンミンの肩越しに、

美しい風景をもう一度見た。



ここは夢の世界のようだ。


きっと‥‥二人は‥‥

疫病のことも、

毒草のことも、


そして‥‥箱のことも‥‥


知らないのだろう。




「実は‥‥」




新王は王国に起きている惨事を、

チャンミンに語った。