白磁 18
それからも、
二人は逢瀬を重ねた。
大抵は、チャンミンが、
ユノの店にステージを見に来て、
そのまま、
ホテルに直行した。
ごくたまに、
ユノが、まとまった休みが取れると、
ユノの方から会いに行ったりもした。
その日も、
珍しく5日間の休みがもらえたので、
ユノは、チャンミンの工房を訪ねた。
ユノは、チャンミンの工房が好きだった。
チャンミンの工房は、
里山に囲まれている。
その風景は、
ユノが飛び出してきた故郷の田舎を、
思い出させた。
事前にラインは送っていたが、
『ちょうど窯に火を入れているところなので、
着いたら裏に回ってください。』
と、返信がきた。
窯に火?
確か窯火を入れるのは、
まだまだ先と言っていたはずだが‥‥
ユノは、「あれ?」っと思ったが、
何か事情が変わったのだろうと、
たいして気にしなかった。
工房につくと、
約束どうり、窯のある裏へ回った。
チャンミンが、1人で窯の前にいた。
この前火を入れていた大きな窯じゃない。
左端にある一番小さな窯だ。
それに、もう火は消えているらしい。
窯の口を開け、
チャンミンが長い火かき棒を使い、
中から何か、かき出している。
「チャンミン?」
「あ、ユノ。
いらっしゃい。」
チャンミンは、手を止め、
微笑んだ。
「ちょっと待っててください。
すぐ終わります。」
チャンミンが、
火かき棒で、何かをザラザラとかき出した。
「っ!!」
ユノは、チャンミンが、
かき出した物を見て、
凍りついた。
「チャンミン
それ‥‥何?」