苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身17

森での生活が、落ち着いてくると、



ユノは、だんだんとチャンミン王のことが気になってしかたなくなってきた。



ユノが帰還したことは、

民の噂で、チャンミン王の耳にも入っているだろう。



そして、

ユノを見た人々が石になってしまったことも、聞いただろう。



チャンミン王は、石になってしまった民を見て、

なんと思っただろうか‥‥



あの石像を、まの当たりに見て‥‥



ユノのことを化け物だと‥‥思っただろうか‥‥



仕方ない‥‥



今の自分は化け物だ。


まるで、伝説のメデューサのようだ。



ユノは、そう思った。



しかし、

チャンミン王に、真実を伝えたい。


もう二度、会うことは叶わないが、


変わらず愛していると伝えたい。


魔女はまだ生きている。


両腕は切り落としたが、

あの程度であの魔女が死ぬとは思えない。


森の中には、時々、チャンミン王の民も入ってくる。



魔女に気をつけるよう、

人々に警鐘を与えたい。



ユノは考えだ。



ユノは丸1日考え、文を書いた。



小屋にあった机の引き出しの中に、


何かの領収書らしき紙が何枚か入っていた。



ユノはその裏に、

チャンミン王へ宛た文を書いた。



今までの経緯、


石にしてしまった民への謝罪、


そして、チャンミン王への変わらぬ愛の誓いを書いた。



「ブラン‥‥」



ユノは、小屋の外に出ると、

草を食んでいた愛馬を呼んだ。



「ブラン‥‥

すまないが、

これをお城のチャンミン様に届けてくれないか?」




ブランは黒い大きな目で、

真っ直ぐにユノを見つめている。



「わかるか?

ブラン。

お城だ。

お前は、家におかえり‥‥」



ブランは、ゆっくりと頭を下げると、


ユノに頬ずりした。



ユノの言葉をブランが理解したのだと、

ユノには解った。



ユノは、文を袋に入れ、

ブランの背中にくくりつけた。



ユノは、森の中を、

城の方に向かってブランを誘導した。


やがて、

森の中からでも、

城の一部が見える位置まで来た。



「ブラン‥‥

頼むな。」



ユノは、

ブランの尻をペチと叩いた。




ブランは、それを合図に、

ゆっくりと城に向かって歩きだした。



時折振り替える愛馬の姿が、

ユノは、切なかった。



愛馬の姿が完全に見えなくなるまで、


ユノは森の中にたたずみ、

見送った。





続く