苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

狂気と愛の境目14

しばらくして、

ユノが再び寝入ると、


チャンミンは、

マネージャーに電話した。



ことの次第を話すと、

マネージャーは、ユノの家に飛んできた。



人の気配にユノが起きると、


マネージャーは、

ユノの傷だらけの姿を見て絶句した。



「マネヒョン……

ごめん……

俺……」



ユノが、謝ると、

マネージャーは、

何も言わず、

ユノを抱きしめた。



「大丈夫。

あとは、

俺達に任せろ。」



ともかく噂や写真の流出を抑えるのを最優先にし、


ユノの身体が回復するまで、

仕事は、調整することになった。


SMエンターテイメントが総力をあげて、

ユノの写真流出を抑えにかかった。



「残念だが……

この世界では、よくあることなんだ。

会社は、こういう事の対処は万全だし、慣れている。」



「慣れちゃいかんのだかな……」

と、マネージャーは、

小さく笑った。



幸いにも、まだ、

ユノの、そのような写真は流出していなかった。



ユノは、男達は、軍人みたいだと言っていた。



案外、

男達の目的は、

本当にユノの蹂躙だけで、


金や、それ以外の目的は、

無かったのかもしれない。



ならば……


と、チャンミンは、

思った。



『これから……

僕がやらねばならないことは、

一つしかない。』



チャンミンは、再び、

スマホを手に取り、


電話をかけた。

狂気と愛の境目13

「俺……写真を撮られた。」



「え?」



「男達に……

最後に……

携帯で、撮られたと思う。」



「…………」




「警察に、訴えたりしたら、

写真をネットに流すって……言われた。」



ユノの目から、

大粒の涙が、

ポロポロとこぼれた。



チャンミンは、

ユノをそっと抱きしめた。



「どうしよう……」



「ユノ……」



「どうしよう……

チャンミン……

ごめん……

あれがネットに出たら、

もう、おしまいだ。

東方神起は、もう……

終わりだ。」



「ユノ……

ユノ……」



「ごめん……

チャンミン……

ごめんな。」



ユノは、チャンミンに、

しがみついた。


チャンミンも、

ユノを力いっぱい抱きかえした。



「大丈夫です。

おしまいになんか、

なりません。

させません。

大丈夫です。」



「チャンミン……」



「大丈夫。

ユノは、休んでてください。

俺と、マネヒョンで、

なんとかします。」



「チャンミン……

でも……

俺も……」



「あなたは、もう十分辛い目にあった。

これ以上何も何もしなくていい。

大丈夫。

心配しないで……

それより、ゆっくり寝て、

身体を休めてください。

ね?」



チャンミンは、

再びユノを横にし、

毛布をかけてやった。



「チャンミン……」



ユノは、不安そうに、

チャンミンの手を握った。



「大丈夫。

ここにいます。

どこにも行きません。

ゆっくり寝てください。」



チャンミンは、

空いているほうの手のひらで、

ユノの目をふさいだ。



「うん……」



ユノは、また、

目を閉じた。



「チャンミン……

ありがとう……」



チャンミンの手のひらの下を、

いくつものユノの涙が、

こぼれては、落ちた。



手のひらに、ユノの涙を感じながら、

チャンミンは、唇を噛んだ。



チャンミンの心は決まった。




何かあっても……


どんなことをしてでも……


ユノを守る。


ユノの大事な東方神起を守る。



チャンミンは、決意した。

狂気と愛の境目12

ユノは、夢を見ていた。



人型をした何体もの黒い影が、蠢いている。


やがて、黒い影は、

次々と、

ユノに覆い被さってきた。


仰向けにされ、

足を思い切り広げられた。


嫌だ!

嫌だ!

嫌だ!


抵抗したいのに、

身体が動かない。


誰かが、

何かが、


尻の中に入ってきた。


嫌だ!

嫌だ!

嫌だ!


助けて!

助けて!

助けて!


チャンミン!

チャンミン!

チャンミン!


揺さぶられ、

引っ掻き回され、


そのうち、

暗闇の中に放り投げられた。


カシャッ!

カシャッ!と、

小さな音がする。


目を開けると、

4人のグロテスクな悪鬼がいて、

スマホで、

ユノの写真を撮っていた。


悪鬼達は、真っ赤な口を開け、

ゲラゲラと笑った。



ユノは、

悲鳴をあげて飛び起きた。



「ユノ!?」



「チャンミン!

チャンミン!

チャンミン!」



駆け寄ったチャンミンに、

ユノは、しがみついた。



「大丈夫……

僕は、ここにいます。

大丈夫……」



チャンミンにしがみついたユノの手は、

ぶるぶると震えていた。



チャンミンは、

ユノが落ち着くように、


ゆっくりと、

ユノの背中を撫でた。



「チャンミン……

どうしよう……

どうしよう……」



「何?」



チャンミンは、

少し身体を離し、


ユノの顔を覗きこんだ。



「俺……

写真撮られた……」



「え……?」