苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身33



兵士達は傷ついた新王を馬に乗せ、


恐る恐る慎重に箱を持ち、


急ぎ城に帰った。



新王達の一行が城に到着すると、

すぐさま呪術師や賢者が集められたが、


もはや主だった者達は、

すでに病に倒れ他界しており、


残った者達では、箱を開けることすら叶わなかった。



城に帰った新王は、

切断した右腕の治療もそこそこに、

箱と向き合った。



箱からは、昼夜を問わず、

不気味な声が漏れ聞こえてくる。



その声は、王国への呪詛を唱えている。





「何が‥‥望みだ?」




新王は箱に問いかけた。




「王の血を‥‥

王の命を‥‥

我を苦しめ、このような姿にしたチャンミン王へ‥‥血の復讐を‥‥」



箱の中から地獄の悪鬼のような声が響いた。




「チャンミン殿は、もはやこの国の王ではない。

ここにはいない。」




新王は箱に訴えた。




「嘘をつくな!!」




箱の中から絶叫のような怒号が聞こえてきた。




「嘘ではない。

ここにはいない。」




「どこにいる?」




箱は唸るような声で、新王に聞いた。





「解らない。」





新王は真実を伏せた。




チャンミンは、ユノと再会し、

森で一緒に幸せに暮らしていると報告を受けていた。




「では、探せ。

チャンミン王を探して、

我の前に連れてまいれ。」




箱から聞こえるその声は、

まるで、愛しい恋人を探しているかのような口ぶりだった。




新王は悩んだ。


しかし、こうしている間にも、


王妃の病はどんどん悪化し、


国中に疫病が広がっていく。




新王には、もう‥‥



相談できるのは‥‥


知恵を授けてくれそうな人は‥‥



チャンミン前王しか思い浮かばなかった。




新王は悩みに悩んだ末‥



愛馬に股がり、

森へと向かった。