白磁 3
男は、u-knowを、
VIPルームで待っていた。
この席をリザーブするだけで、
何十万もかかる。
男は金持ちらしい。
「ああ、よかった。
来てくれたんだ。
ありがとう。」
男は、u-knowを見ると席を立ち、
u-knowに右手を差し出した。
近くで見ると、
ほんとに、男はイケメンだった。
それに、高そうなスーツを着ている。
「はじめまして。
シム・チャンミンです。
u-knowさんの、
大ファンです。」
「こんばんは。
u-knowです。
ユノって呼んでください。」
ユノは、
シムチャンミンの右手を握り返した。
「ユノ?」
「はい。
u-knowは、
芸名です。
皆には、ユノっ呼ばれています。」
シム・チャンミンは、
ちょっとびっくりした顔をして、
それから、
嬉しそうに笑った。
「そうなんだ。
ユノ……
ユノか……
では、僕もチャンミンと、
呼んでください。
ユノ、何か飲みますか?
それとも何か食べる?」
「あ、じゃあ何か……
カクテルを……」
ユノは、
チャンミンの礼儀正しい、
柔らかな物腰が、
気に入った。
二人は飲みながら、
話をした。
「あの……
いつも、観に来てくださってますよね?
ありがとうございます。」
「わあ、嬉しいです。
気づいてくれてたんですか?
恥ずかしいな。
僕は、ほんとに、
あなたのファンで……」
チャンミンの耳が、
さっと紅くなった。
ユノは、そんなチャンミンを見て、
『なんだか、かわいい男だな。』と思った。
「ありがとう。
こちらこそ、
嬉しいです。」
ユノは、柔らかく微笑んだ。
「ステージの上からでも、
お客の顔が見えるって、
本当なんですね。
覚えていただけるとは、
思っていませんでした。」
「あなたは、特別です。
とてもイケメンでいらっしゃる。
美人は、どんなに隅の席にいても、
目立ちます。」
「光栄です。」と、
チャンミンも笑った。
チャンミンの綺麗な笑顔に、
ユノは見惚れた。