苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

狂気と愛の境目17

ユノは、刑事の質問に、

答えた。



「襲われた場所は、〇〇地区ですね。」



「はい。」



「〇〇地区の、どの辺ですか?」



刑事はタブレットを操作し、

詳しい地図を出した。



「この辺です。」



ユノは、指で地図を指し示した。



「チョンさん、お一人だったのですか?

歩いていた?」



「はい。」



ユノは、頷いた。




「仲間と飲んでいました。

タクシーを何台か呼び、

皆をタクシーに乗せ、

返しました。

俺は、最後のタクシーに乗ろうとしたんですが、

なかなか来なくて……

夜風が気持ちよかったし、

大通りまで歩いて、タクシーを捕まえようと思って………

つい、一人で裏通りを歩いたんです。」



「裏通りで、襲われたんですか?」



刑事は、ユノに聞いた。



「はい。

後ろから、いきなり殴られて……

車に乗せられました。

それから、

どこかのビルの地下室みたいなところに、連れていかれました。」



「車で連れていかれたのは、どこら辺か解りますか?」



刑事は、再びタブレット操作しながら聞いた。



「たぶん……

〇〇地区の〇〇あたりです。」



ユノは、男達に放置されたあと、

一人で外に出て、

タクシーを捕まえた。



「具体的に、どのビルか、解りますか?」



刑事は、タブレットを、

ストリートビューに、

切り替え、動かした。



ユノは、画面をじっと見つめた。



「ここだと、思います。」



ユノは、画面の中の、

一つのビルを指差した。




「解りました。」



刑事は、タブレットを、

消した。



「犯人は、男4人ですね。」



「はい。」



ユノは、頷いた。



「どんな風貌でしたか?

何か、特徴のある男は、

いましたか?」



ユノは、うつむいた。



「軍人みたいでした。」



「軍人?

軍服でしたか?」



「いえ。

皆、Tシャツに、

ジーンズでした。

でも、俺のことを、

同じ隊の人が知っていると言っていました。

それに……」



「それに?」



刑事は、促した。



「何がしかの、体術の訓練を、

受けているような、感じでした。」



「そうですか……

あと何か……

身体的特徴を、

何か覚えていますか?」



「あ……」



ユノは、言い淀んだ。


隣に座っているチャンミンを気にした。



チャンミンは、

すぐに、気がついた。



「ユノ。

大丈夫です。

何か、あるなら、

話してください。」



ユノは、少し迷ったが、

続けた。



「入れ墨をしているヤツが、二人いました。

腹に……

ナイフに蛇が巻き付いているみたいな図柄だった。」



「なるほど……

二人とも、同じ図柄ですか?」



ユノは、ギュと、

拳を握りしめた。



「もう一人は……

ぺニスに……

入れ墨をしていました。

鎖みたいな……」



「っ……」



チャンミンは、

一瞬息を詰めたが、

すぐに、

そっと、ユノの肩を抱いた。



「解りました。」



刑事は、タブレットと、

手帳をしまった。



「貴重な情報をありがとうございました。

捜査状況は、逐一ご連絡します。」




刑事は、丁寧に挨し、

帰っていった。



「もっと、細かく、

突っ込んで聞かれるのかと思った。」



ずっと緊張していたユノは、

力を抜き、

ため息をついた。



「十分、細かかったですよ。

疲れたでしょ。

大丈夫?」



「うん。」




チャンミンは、ユノを、

優しく抱きしめた。