白磁 6
工房の外に出ると、
建物の裏手は、
低い山になっていた。
チャンミンに促され、
山の方に向かって歩いていくと、
大きな窯が、
三台あった。
火が点いているらしい。
少し離れた所から見ていても、
熱い。
窯の前でも、
何人もの職人が作業していた。
「テミン!」
チャンミンは、
作業していた職人の中で、
一番若い職人に声をかけた。
テミンと呼ばれた職人が、
顔をあげた。
「っ……」
ユノは、思わず息を飲んだ。
恐ろしく綺麗で、
そして、
妖艶な男だった。
「チャンミンさん。」
「テミン。
様子は、どうだ?」
「はい。
まだ、温度が上がりきらなくて……
もう少し、かかります。」
「そうか。
こちらユノさん。
俺の友人なんだ。
しばらくこちらに滞在する。」
いきなり紹介され、
ユノは、面食らったが、
よろしく……と、
会釈した。
「イ・テミンです。」
テミンも軽く、頭を下げた。
「向こうに、おやつを用意していたぞ。
みんなも、交代で休憩してくれ。」
「「はい。」」
そこにいた全員が返事をした。
窯は、ゴウゴウと燃え、
隙間から、
真っ赤な火が見える。
「すごいな……」
ユノなど、
熱くて、
近寄るのも、
怖いくらいだ。
「窯は、
4日間火を炊き続けて、
温度をあげて、
4日間かけて、
冷ますんです。」
「4日間?
そんなに?」
「はい。
内部は、
1000度以上になります。
焼き物以外は、
何もかも燃えて無くなります。」
「そうなんだ……」
1000度以上の火の世界。
ユノには、想像もつかない世界だった。