白磁 7
窯から戻ると、
チャンミンは、
「特別な部屋です。」と、
工房の奥の部屋に案内してくれた。
「どうぞ……」
ユノは、チャンミンに促され、
中に入った。
「うわ……」
そこはさながら、
陶器の美術館のようだった。
白い生地に、
極彩色の絵が施された陶器の芸術品が、
並んでいた。
「綺麗だな……」
「気に入りましたか?」
チャンミンに聞かれ、
ユノは、頷いた。
「元々、家にあったのもあるんですが、
ほとんどは、俺が趣味で、集めたものなんです。」
部屋の中を、
一通り見てまわると、
チャンミンは、
一番奥の棚の前で立ち止まった。
そこの棚に飾ってある陶器は、
真っ白な磁器のコーヒーカップのセットだった。
乳白色な生地の上に、
シンプルな花模様が、
描かれている。
「俺の、一番のお気に入りです。」
チャンミンは、
カップを一つ手に取ると、
ユノに手渡した。
「ボーンチャイナって……
知っていますか?」
「ボーンチャイナ?
聞いたことはあるけど……
どんなのかは、
知らない。」
ユノは、正直に答えた。
「18世紀のイギリスで開発された技法です。
美しい白色の生地を焼き上げるために、
土に、牛の骨を混ぜたんです。」
「牛の骨!?」
「はい。
綺麗な乳白色の生地でしょう?」
チャンミンは、
カップを、
ユノの手ごと包み込むように撫でた。
「ああ、やはり、
あなたの白い手の中にあると、
カップが映えます。」
チャンミンは、
ユノの手の中にあるカップを、
うっとりと見つめた。
「いつか、
こんな美しい磁器を作るのが、
俺の夢なんです。」
「そうなんだ……」
生き物の骨を使うなんて……
ユノはなんだかゾッとして、
カップをチャンミンに返した。
夕食も、チャンミンの屋敷で、食べた。
二人は、
たらふく食べて、
遅くまで酒を酌み交わした。
「明後日までしかいられないですよね?
残念だな。
窯出しを見せたかったのに……」
二日後に窯の火を消し、
さらにその四日後に、
やっと窯を開け、
中の焼き物を出す。
「俺も見たかったんだなくどな……
何日の何時から開けるんだ?」
チャンミンは、
壁のカレンダーを見て、
いち、にい、と数えた。
「来週の水曜日の…朝10時くらいからです。」
「じゃあ、お邪魔じゃなければ、
その頃、また見にくるよ。」
「ほんとですか!?」
「ああ。」
「嬉しいです。」
チャンミンは、嬉そうに笑った。
ユノの好きな、
あのかわいい笑顔だった。
ユノは、思わず、
チャンミンの頭を引き寄せ、
口づけていた。
「あ………」
チャンミンは、
恥ずかしそうにうつむいた。
「ごめん……
嫌か?」
「いえ……嬉しいです。」
その夜……
二人は愛し合った。
服を脱がせあい、
風呂に入り、
身体を丁寧に洗いあい、
チャンミンの寝室に連れていかれた。
挿入こそは、しなかったが、
二人とも手や口を使い、
互いにの身体を愛撫した。
チャンミンは、
ユノの身体の隅々まで、
舐め、キスをし、
触ってないところがないくらい、
ユノの全身を愛撫した。
「ユノ……
ユノ……
綺麗だ。
真っ白で、
手に吸い付くような肌だ。
思ったとおりだ。」
ユノは、見かけによらず、
情熱的なチャンミンの愛撫に、最初は戸惑ったが、
身体の力を抜き、
チャンミンの好きにさせた。
チャンミンに、
すべてを預けられるSEXは、
ユノにとって、
心地よいものだった。