白磁 23
朝になり、
窯の火を消したチャンミンが、
戻ってきた。
チャンミンは、
シャワーを浴びると、
朝食も食べずに、
ユノにのしかかってきた。
「チャン‥‥ミン?
あ‥‥
どう‥したんだ?」
穿たれるたびに、
チャンミンの髪から、
拭ききれなかった水滴か、
ポタポタと、
ユノの肌に落ちた。
「火を見ながら、
一晩中‥‥
あなたのことを‥‥考えていた。
あなたも、
僕のことを‥‥考えてくれた?
我慢できなかった?」
「あ‥‥
あ‥‥
チャンミン‥‥」
ユノは、チャンミンの宣言どおり、
気絶するまで、
何度も揺さぶられた。
次に目が覚めた時は、
もう、窯から作品が出し終わっていた。
「今回は、早いんだな。」
「はい。
数がそんなに多くなかったですから。
見てください。
今回は、成功しました。」
チャンミンは、ニコニコしながら、
真っ白な、美しいティーカップを、
ユノに見せた。
「あ‥‥」
チャンミンの手の中にあるティーカップは、
ミルク色に輝いていて、
とても綺麗だ。
薄いブルーで、
美しい花柄が描かれている。
店頭にこんなのがあったら、
絶対、一度は手に取る。
何も知らなかったら‥‥だが‥‥
この美しい磁器の中には、
犬の骨が入っているのだ。
いったい誰が、
このカップを使い、
珈琲や紅茶を飲むんだろうか‥‥
ユノは、考えると、
胃が重くなってきた。
「ユノ?」
「あ、大丈夫。
なんでもない。」
「顔色が悪いです。
無理させ過ぎちゃいましたかね。
あちらで、ゆっくり休みましょう。
甘いカフェオレでもいかがですか?」
「‥‥‥‥うん。」
どうか、
白いカップじゃありませんように‥‥
ユノは、こっそりと祈った。