魔身23
「そなたに‥‥
頼みたいことがあって来た。」
チャンミン王の言葉に、
魔女は、「おや‥‥」と、
片眉を上げた。
「高貴なお方が、
私などに何の頼み事でしょうか?」
「ユノの呪いを解いて欲しい。
さすれば、そなたの望みを何なりと叶えよう。」
魔女は、チャンミン王の言葉に、
キャハハハハと金切り声をあげ笑った。
「ユノ?
あの若者の呪いを解くために、こんなところまでいらっしゃったのですか?
王、自ら‥‥?」
「そうだ。」
「残念です~
あの若者の呪いは解けませぬ。」
魔女は、アハハハハハと笑いながら語った。
「あの呪いを解くためには、
解術の印を結ばねばなりませんが、
私には、印を結ぶための腕も指もありません。
あの若者が、切り落としてしまいました。」
魔女は、両腕を上げ、
王に見せた。
魔女の両腕は肘の辺りまでしか無いようだった。
服の袖が、肘の辺りでだらんと垂れ下がっている。
その先には、手も指も見られなかった。
「あの若者は、陛下の想い人なのですか?」
魔女は、ニヤニヤしながらチャンミン王に聞いた。
王は答えなかった。
「麗しのチャンミン王が、
同性しか愛せぬ外道だという噂は、本当だったのですね。
そのため、跡継ぎの子も成せぬとか‥‥」
「きさま!!」
王の後ろに控えていた兵士らが、
魔女に向かって剣を構えた。
チャンミン王は、手で兵士らを制した。
「だったらどうだというのだ?」
チャンミン王は、魔女にたずねた。
「おかわいそうに‥‥
あなたはもう、二度と想い人には会えない。
愛しい人に会った瞬間‥‥
石になってしまいます。
おいたわしいことです。」
魔女はおかしそうに笑った。
「彼の呪を解くためには、
彼に鏡を見せればよい。
さすれば、鏡に映った己を見た瞬間、
彼は石となりくだけ散り、
彼の呪いは解けましょう。」
「もう二度と誰も石にせずとも済む‥‥」と魔女はおかしそうに、ゲラゲラと笑った。
「解った‥‥」
チャンミン王は、怒りを抑え、
静かに呟いた。
「こやつを捕らえて、
城に連れて行くぞ。」
チャンミン王は、兵士達に声をかけた。
「「御意!」」
兵士達は、一斉に魔女に飛びかかった。