苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身25

チャンミン王は、

魔女の亡骸の処理を賢者達に命じた。


賢者達は魔女の遺体を、


頭部、


右腕、左腕、


右足、左足、


上半身、下半身と、


7つに分断し、


それぞれが灰になるまで火にくべた。



丸々7日間、

火で燃やし続け、


ようやく骨まで灰になったが、


頭部だけは、

どうしても燃え尽きなかった。



それどころか、

どんな剣をもちいても、

どんな金槌をもちいても、


魔女の頭部を砕くことはできなかった。



困り果てた賢者達は、

しかたなく‥‥


魔封じの護符を書き連ねた箱を用意し、


その箱の中に、

魔女の頭部と遺灰を詰めた。


そして、

北の聖地と言われた山奥にある湖に、その箱を沈めた。



チャンミン王には、


魔女の亡骸は全て灰になり、

北の聖地に埋めた‥‥と、

嘘の報告をした。




賢者達の報告を聞き


チャンミン王は、




「そうか‥‥

ご苦労だった。」



と、頷いただけだった。



それからしばらくの間‥‥


チャンミン王は自室に籠りがちだった。



10日程たったある日‥‥



チャンミン王は、

一族の者や、

城下の主だった人々を、

城に呼び寄せ、


魔女を葬った祝いだと、


盛大な宴を開いた。



チャンミン王は、宴に列席した人々一人一人に、言葉をかけてまわり、

日頃の労をねぎらった。



特に、

跡継ぎと決めていた妹の子供である皇太子には、

熱心に話をしていた。



やがて夜もふけ、


人々は家路に付き、


城の中には、

宴の後片付けをしている召し使い達と、


夜番の兵士達のみとなった。




チャンミン王は、

召し使い達と兵士らにも労をねぎらい、


最後に侍従長に声をかけた。




「いい宴だった。

ありがとう。」




「王様‥‥もったいないお言葉でございます。」




侍従長は、深く頭を下げた。



チャンミン王は頷くと、

自室に戻った。



チャンミン王は、自室に戻ると、窓辺に立った。



東の空が白み始めている。


もうすぐ夜が明ける。



この部屋の‥‥この寝台で、

愛するユノと、

幾晩もの熱い夜を過ごした。



前の晩、

どんなに激しく愛しても、


愛しい人は、この窓から朝陽が差し込むと、



「仕事があるから‥‥」と、

寝台を降りてしまった。



この窓から差し込む朝の光を、

何度、恨めしく思ったことか‥‥


朝陽など永遠に差し込まねばよいのに‥‥と、

何度も思った。



今また‥‥


東の空から朝陽がゆっくりと昇ってきた。



「美しいな‥‥」



チャンミン王は、

朝陽に照らされ白く輝いていた、

恋人の裸の背中を思い出していた。



愛しいユノ‥‥



誰よりも大切な‥‥


何者にも代えがたい‥‥生涯の我が伴侶‥‥



チャンミン王は、朝陽にしばらく見とれていた。




それからおもむろに、

小さな剣を手に取った。




「ユノ‥‥

待っていてくれ‥‥

必ず会いに行く‥‥」



チャンミン王は、剣の切っ先を目に当てると、



己の両目を一気に引き裂いた。