苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身4

翌朝早く、

ユノはチャンミン王のベッドを抜け出すと、

実家に向かって旅立った。



早朝ではあったが、

チャンミン王も一緒に起き出してきて、


遠慮するユノをなだめ、

城門まで送っていった。



いざ、城門についても、


チャンミン王は、

ユノを抱きしめたまま、


なかなか離してやることが出来ずにいた。


王と共に、

見送りに出ていた近衛兵や召し使い達は、


そんな王の姿を、

微笑ましく見ていた。



城下の者達は、

この若く美しく、

勇猛果敢で賢い王が、


女性を愛せない体質だということは、

皆、承知していた。



美しく、性格がよく、

優勝な侍従長を、

深く愛し、


生涯の伴侶と思っていることも、

承知していた。



王は、もう随分前に、

王妃は娶らぬと宣言していたし、


跡継ぎは、

妹君の長男に譲るとも宣言していたので、


皆、王の性癖は、

問題にしなかった。



それよりも、


この若い王と、

その伴侶である美しい侍従長が、


国民のためにと尽力し、


数々の事業をなしとげ、


民の生活を豊かにしたことを、


国民は皆深く感謝していた。



「陛下‥‥

そろそろ離してさしあげないと、

侍従長殿がお困りです。

陽が暮れてしまいます。」



ユノの困り顔に、

見かねた近衛兵が助け船をだし、


チャンミン王は、

やっとユノを離した。




「ほんとに‥‥共は、

この者だけでいいのか?

兵は連れていかぬのか?」



チャンミン王は、

ユノに聞いた。


ユノは、下男のディンディンだけを連れて、

旅立とうとしていた。



「はい。

そんなに遠くはありませんし、

ほんとは私一人でも、

大丈夫なくらいです。」




一人で行くと言ったユノを止め、

チャンミン王が無理やり共の者を付けさせた。



「ディンディン。

ユノを頼むぞ。」




チャンミン王は、

ディンディンに言葉をかけた。



「はい!

陛下、おまかせください。

このディンディン。

命に代えても、

ユノ様をお守りいたします!」




ディンディンがチャンミン王に敬礼すると、

ユノは、

「オーバーだなぁ~」

と笑った。




「では、いってきます。」




「ああ、気をつけてな‥‥」



ユノは、

チャンミン王に見送られ、

実家に向けて旅立った。






続く