苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身6

ユノとディンディンは、

朝早くに、

ユノの実家を出た。



前の晩は、

雨が酷く降っていたが、


朝には、青空が広がり、

爽やかな晴天になっていた。



ただ、夜に降った豪雨のために、

街道の一部に土砂崩れがおこっていて、

通過できない場所があった。



ユノとディンディンはしかたなく、

街道を避け、

森の中を抜けて行くことにした。



森には恐ろしい魔女が住んでいるという噂があったので、


ディンディンは、森を抜けることを反対した。


森を迂回し、

回り道をしていこうと提案したが、


ユノは、『大丈夫だから‥‥』と言い、


そのまま森を抜けることにした。



森を迂回して

他の街道を行けば、


王宮に着くのが、

さらに、2日遅れることになる。



ユノは、1日でも早く、

愛しいチャンミン王に会いたかった。



ユノは、もと武官だ。



怪我をして、一線を退いたとはいえ、


柔術と剣の腕には、

自信があった。


まだまだ魔女になど、

負けはしないと過信していた。




ユノとディンディンは、

馬に乗ったまま、

森の中に足を踏み入れた。



森の中は、

昼間だというのに、

白い靄がたちこめ、

どこか薄暗かった。




森の真ん中辺りまで来た時だった。



木の根本に、

白い服を着た少女が一人、うずくまっていた。



こんな森の中、

こんな子供一人で、

どうしたのだろうか‥‥




ユノが、少女に声をかけようとすると、

ディンディンが止めた。



「ユノ様‥‥

変です。

こんな森の中‥‥

魔女かもしれません。」




ユノは、少女を見た。


少女は膝を抱え、泣いている。




「まだ、子供じゃないか。

森の中で、

迷ったのかもしれない。」




ユノは馬から降りると、

少女に優しく声をかけた。




「こんなところでうずくまって、

どうしたの?

一人?」




ユノの言葉に、

少女が顔をあげた。




恐ろしく美しい少女だった。



「森で木の実を拾っていたら、

足を怪我してしまい、

歩けません。

どうかお助けください。

家まで、送ってください。」




少女は、白磁のような頬に、

ハラハラと涙を流し、

ユノに訴えた。



見ると確かに、

少女の細い足首が赤く腫れあがっていた。




白いスカートから覗く、

真っ白な足が、


妙に淫靡で、


ディンディンは、

少女から目を反らした。




「それは大変だ。

家はどこ?」




「すぐ近くです。

森を抜けたところなんです。」




「解った。

家まで送ってあげよう。」



ユノは、少女を抱き上げると、


自分の馬の上に乗せた。



少女の案内で、

ユノとディンディンは、

森の中をしばらく進んだ。




「ほんとうにこっち?

道を間違ってはいない?」




ユノは、少女に聞いた。



森を抜けるというより、

森の奥に入っていっている気がした。




「はい。

こっちが森を抜ける近道なんです。」




「そうなんだ‥‥」




ディンディンは、

ユノに警告の言葉を発したかったが、


何故か口が開かない。


声が出ない。



おかしい‥‥と気がついたディンディンは、


二人を見失わないように、


ユノのあとを必死についていった。






続く。