苦いチョコレート

東方神起ミンホ。闇小説(ホラー&暴力系)多し。

魔身9

草の朝露が、

ポトリと頰に落ち、


ユノは、目が覚めた。



一瞬‥‥


自分がどこにいるのか、

わからなかった。



ユノは身体をおこし、

辺りを見回した。



まだ、早朝だ。



辺りは朝靄に包まれている。



ブルルルル‥‥と、声のした方を見ると、


ユノの馬が草を食んでいた。



「‥‥‥‥ブラン‥‥」



ユノは、恐る恐る、

愛馬の名を呼んだ。



真っ白なこの馬を、

チャンミン王から与えられた時、

ユノが付けた名だ。



異国の言葉で、

『白』という意味だ。



名を呼ばれたブランは、

主人の方を見た。



ユノは、ゴクリと息を飲み、

ブランの様子をうかがったが、



やがて、

ホーッと安堵のため息をついた。



ブランが、石になる気配はない。


では、あの魔女の呪いは、

成就しなかったのだ。



「よかった‥‥」



だが‥‥

ディンディンは‥‥



ユノは、唇を噛み締めると、

ブランに股がった。




とりあえず、

城に、


チャンミン王のもとへ戻ろう。



それから、

王にディンディンのことを相談しよう。



王なら、国の知識人を集め、

何か呪いを解く方法を、


一緒に考えてくれるかもしれない。



王に会いたい。



ユノは、逸る気持ちを抑え、


城に向かって、

馬を走らせた。




城下の門が見えてきた。



入り口に、

門兵が立っているのが見えた。


ユノも顔見知りの兵だ。




「ユノ様!!

おかえりなさい!!」




門兵は、

ユノに気がつくと、

ユノに向かって笑いかけた。



次の瞬間‥‥



門兵は、

笑顔のまま、

石に変わった。





続く